青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

25*2007 オニー小学校2年生>>1

2年生の担任は、自らを"美人先生"と名乗る、またもベテランおばちゃん先生だった。"美人"と名乗っても、誰からも「・・・ハイ。」と言われるような美人先生は、元気で豪快な生徒大好き先生だった。

相も変わらず周りの子達とは違った世界観の中で生きているオニーにトラブルは尽きない。ただ、友達関係というより、世間との思考の隔たりによるトラブル、とでも言うのか・・・。

2年生の算数と言えば、なんと言っても九九である。決して勉強が苦手ではないオニーだったが、何をどうつまづいたのか、気が乗らなかったのか、九九を全く覚えなかった。毎日の宿題は九九を覚えること。今週は4の段、来週は5の段・・・のように、毎日家で親に九九を唱えて覚えるのだ。

ある時、美人先生から電話があり、「お母ちゃん、オニーは家で九九覚えてる?」と聞かれた。オカンは今算数で九九をしている事も知らず、毎日宿題に九九覚えがある事も知らなかった。「え?九九してるんですか?」このままでは皆に遅れをとってしまうので、覚えるように協力してやって、と言われた。

慌てたオカンは直ぐにオニーに尋ねた。「オニー、学校で九九やってるん?」「オレはやらへん。」「え?なんで??」「九九は嫌や。云々カンヌン・・・。」何を言ってるのかよく分からなかったが、どうも初めの段階で何か気に食わない事があり、先生にも腹が立ったようで、自分は九九はしない、という事のようだった。

九九・・・なぁ💧これが数Ⅲや物理ならばオカンは何も言わない。将来出来なくとも生きていける。しかし九九だ。これがなくては今後の算数も出来ないし、大人になってスーパーの20%引きの計算も出来ない。

正攻法ではこの天邪鬼(当時はそう思っていた)に九九を覚えさせる事は出来ないと思ったオカンは、こう言ってみた。「ほんなら九九やめよ。九九出来んでも、息できたら生きていけるしな。大きくなって九九出来んのは、小学校2年生の時の美人先生のせいですねん、って言いながら生きていこ。そうしよ。」

オニーは困惑したようだった。何かが気に入らなくて、やらない!と言ってみたものの、本人も気付いてはいる。これはやっておいた方が良さそうだ、と。美人先生には覚えるように言われたがやらなかった。もしかしたらオカンが「これは必要だから一緒に頑張って覚えよ!」と言えば、「オカンが言うならしゃーなしやでー。」と言いつつ覚える気だったのかも知れない。オニー、どうやったん??

その後詳しくは覚えていないが、結局オニーはモーレツな勢いで九九を覚え皆に追い付いた。この時の九九を駆使して、中高時代は数学が1番の得意科目。大学受験では1度は数学科を受ける程の数学好きとなる。

オニーよ、一体キミの頭の中はどうなっているんだ?