青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

30*2008 オニー小学校3年生>>1

3年生の担任は、一昨年大学を卒業して先生となった新卒2年目のピチピチI先生(女性)だった。1.2年生はベテランオバチャン先生が担任で、ベテラン先生ですら手こずってオカンが呼び出される事も度々あったのに、新卒2年目って・・・オカンはとても不安だった。

4月の家庭訪問でオニーのトリセツを伝えてはいたが、ヤル気はあるけど評判はイマイチ(新卒なんだから当然なのだが)なI先生をその時は信頼出来なかった。

「言われた事をそのまま受け取る節がある(→正にアスペルガー)」と伝えてはいたが、授業中などにオニーやうるさい子が居ると、I先生は「授業聞かない人はもう帰りなさい!」と言ってしまう。すると、オニー以外の子は「ヤベッ!ここら辺でやめとこ。」と先生の意図を理解して静かにするのだが、言葉通りにしか捉えられないオニーは、「ん?帰るの?ほんなら・・・」とランドセルに荷物を積め始める。

先生にしたら、わざと挑発している様に感じたかもしれない。実際、オカンも初めはそう思っていた。他の子は先生にビビって静かにするが、オレはそんな脅しには乗らねぇぜ~みたいな態度かと。

しかし、違ったのだ。オニーは、帰れと言われたから帰ろうとしただけなのだ。オニーからしたら、帰れと言われても帰らない他の子達の方が反抗していて、自分の方がちゃんと先生の言う事を聞いている、と思っていたのかもしれない。

新米先生は困ってしまい、オカンに電話をかけてきた。「オニーが帰れ言うたら帰ろうとします。どうすればいいですか?」「・・・💧」いや、先生、こっちが知りたいです、どうしたらいいかなんて。

新米先生と未熟なオカンは2人で黙り込んでしまった。どうすりゃいいの?こんな時??

今まではナンダカンダあっても、ベテランオバチャン先生がある程度上手くさばいてくれていた。1からどうすりゃいいか聞かれた事はなかった。

とりあえず、学校としては帰れと言っても帰られては困るのだ。もし帰して、道中で何かあったら学校の責任になってしまう。しかし、先生が帰れと言った以上(そう言う時は怒りマックスなのだろう)、先生からやっぱり帰らないでと言ってしまうと、そのうちフツーの生徒は先生をナメるだろう。「どうせ口だけやん。」「帰ったら困るん先生やん。」と。

これでは先生の威厳が保てない。それは保護者にとっても良くない。なのでオカンは先生に、「先生、どうしても言うことを聞かなくて帰れと言ってしまった時は、帰る用意をさせて職員室でオニーを待たせて下さい。そして携帯に電話して貰えれば、オカンが迎えに行きます。」と言った。そうすれば先生の体裁も保てるし、オニーも本当に帰されるのだと分かるだろう。

I先生にオカンの考えを伝えると、「分かりました。オカンに電話させて貰います。でもなるべく帰れとは言わないようにします。」と言われた。先生も頑張ってくれたのか、結局オニーを職員室に迎えに行く事はなかった。

オカンは今まで担任の先生に甘え、助けられていた事に気付いた。しかし、I先生はオカンの一回りほど歳下の独身だ。今までみたいに全面的に甘える事は出来ない。

初めてコマなしの自転車に乗る時、しばらくは後ろを誰かに持って支えて貰い、そのうちそっと手を離して貰って1人で乗れる様になる。この2年間、オカンはH先生と美人先生に後ろから支えて貰ってきたが、いよいよ1人で乗る時が来た・・・そんな感じだった。

オカンには不安しかなかった・・・💧