青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

76***ときどきイモート5***

2013年、イモートは小学4年生。まだ10歳だったが、イモートはオカンがオニーで大変なことをよく分かっていた。

オカンは学校からしょっちゅう呼び出され、部活動終わりで先生方の仕事終わりの19時過ぎから、それまで生徒指導室で待機させられていたオニーと話し合いが始まる。

毎晩19時頃からオカンとイモートは2人で夕飯を食べていたのだが、呼び出しの日はイモート1人で夕飯を食べ、お風呂に入り、歯磨きをして21時迄にベットに入っていたハズだ。いつもオカン達が家に戻るのは21時半を過ぎていて、帰って1番に部屋を覗くとちゃんとスヤスヤ眠っていた。

基本、夕飯時はテレビ禁止で、オカンと2人でその日の出来事等を話しながら食べていたのだか、呼び出しの日だけはイモートの夕飯をテレビの前のテーブルに準備して、テレビを見ながら食べていいことにしていた。オカンとしては、1人で心細いだろう、ごめんね、という思いだったのだが、そこは末っ子。「ラッキー♪ドラえもん見ながら食べよー♡」ってな感覚だったそうだ。頻度もそこそこ高かったので、オカンとしては1人のお風呂も、仕上げ磨きをしてあげれない歯磨きも、とても心苦しかったのにさ(笑)

ある日、また学校へ呼び出され、イモートの夕飯を準備して行こうとしたのだが、余りの胃痛に蹲ってしまった。その頃オカンは胃痛が酷く、普通の胃薬を飲んでも飲んでも効かず、ストレス性の胃薬で少し治まっていた状態だったのだが、その日は薬も効かず、激痛と辛さから泣きそうになってうずくまっていた。

すると、ご飯を食べかけの、お箸を持ったまま、半分テレビを見ながらのイモートがオカンの側に来て、オカンの背中を擦りながら「ママ、頑張って。ママが行かんとオニー帰ってこれへんよ?」と言った。

ハッとした。そうだ。私が行かないと。オニーが待ってる。今回は何をしでかしたのか分からないけど、ちゃんと聞かないと。私が行って、オニーと一緒に帰って来るんだ。

イモートのヨシヨシに勇気づけられ、胃の痛みと涙を堪え、オニーの待つ中学へ行った…。

もしも前世というものがあるのなら、きっとイモートとオカンは身近な存在だったのだと思う。幼い時にイモートが言った「あのお母さん大変やから行ったって、って言われて来た」と言うのが本当なら、私達には深い因縁があるのだろう。

「ママ、このままやとオニー帰ってくるところないよ。」

6年後、イモートがそう言ったから、オカンは家を出る決心をする事になる。この時も、イモートはオニーを助ける為にオカンを奮い立たせ、行動を起こさせた。

もしかして、イモート、オカンの為と言うより、オニーを助ける為に産まれてきたのか?まぁ、そんな事を言おうもんなら、「えー?ちゃうしっ」と言って、お菓子コーナーからグミを取って自分の部屋へ行ってしまうだろう。

イモート、本当にありがとう。ママに何かあったら、オニーを宜しくね。イヤやろけど(笑)