青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

19***ときどき イモート 1***

ハイハイするのも歩くのも、何をするのも全てオニーより遅かったイモート。とは言え、それはオニーが何もかもハイペースだっただけで、イモートがすべて標準だったと気付いたのはずっと後になってからだった。

赤ちゃんの頃からオニーに振り回されるオカンのせいで何でも後回し。オムツが汚れていようとも、昼寝の最中であろうとも、いきなりベビーカーにほりこまれて「ごめんやで!」と猛ダッシュされていたイモート。それでも赤ちゃんの文句である"泣く"ことも無く、いつもオニーとオカンに付き合ってくれていた。

そんなイモートの想い出・・・

3歳位の頃、イモートはオニーが学校に行ってる間にオカンとスーパーへ行っていた。だが、駄菓子が少ない業務スーパーは楽しくないと気付いてしまった。

ある日、プリンセスのDVDを見てお留守番をする、というイモートを置いて、オカンは1人で近くの業務スーパーへ行くことにした。

DVDを流し、イモートに「ピンポン鳴っても返事したり、ドア開けたりしたらアカンよ!イモートはいません。分かった?」と言い聞かせ、「ふぁ~い」という、分かったのか分からんのかよう分からん返事のイモートを置いて家を出た。

早く帰ってこよう。鍵を閉めて家を出ると、kくんのお母さんと妹に会った。「買い物行くならイモート見とこか?」と言ってくれたので、「ちょっと試したい事あるねん!」閃いたオカン💡

kくんの妹に「新聞入れの隙間から、イモート呼んで遊ぼーって誘ってみて!ドア開けるか試したいから!」と頼んでみた。しょっちゅう遊んでいるkくんの妹に呼ばれたら、どうする?イモートよ!?

kくんのお母さんと3人で玄関の新聞入れの前にしゃがみこみ、kくんの妹が「おーい!イモートー!遊ぼー!」と何度も呼んでみた。すると奥からそーっとイモートが玄関へ様子を見に来て、小さな声で「イモートはいませーん。」と言って戻っていった。

その後、何度ピンポンしようと呼び掛けようと、イモートは二度と玄関に来なかった。

オカンは感動した( º﹏º。 ) 凄いぞ、イモート!オニーなら速攻ドアを開けるぞ。

今、ソファで高校の制服のままグーグー昼寝しているイモート。いくつになってもこの頃のイモートのまま、マイペースで、今だにオニーに振り回されるオカンに付き合ってくれている。

イモートよ、私の娘に産まれてきてくれてありがとう。