青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

72*2013 オニー中学校2年生>>9

児童相談所は夏休みは忙しい(?)ようで、予約は8月頭になった。その日はオニーに部活を休ませて一緒に連れていく、とゴッTに伝えていた。

カウンセリングにさえ行けば…そこで劇的に良くなる訳などないのに、その時のオカンは、その日になれば楽になれる…と、まるで砂漠で水を求める人の様に待ち焦がれていた。

しかし、その前に事件は起こった。

先日姉がウチへ来た時、夏休みに姉がオニーをスキューバダイビングに連れて行ってあげようか、と言ってくれた。姉は趣味でスキューバダイビングをしており、近々行く予定があるということで提案してくれたのだ。

夫に相談すると、「いいやん。」と言ってくれ、お金を出してくれることになり、オニーも初めてのスキューバダイビングを楽しみにしていた。

ところが。ある日たまたま父親と塾に行く前のオニーが、同じタイミングで夕飯を食べていた時、黙々と食べている父親の前でオニーがオカンに何かおかずの事で文句を言った。それはとてもしょーもないことで、オニーとオカンの間では全く大した事ではなかったのだが、父親がオニーに「お母さんが出してくれた物に文句言うな!」と言った。

オカンはピリッとした。いや、ちゃうねん。それはオニーとオカンのテッパンの言い合いで、野菜嫌いのオニーにさっきも食べたのをもうちょい食べさせようとこっそり追加しただけやねん…。ガダン!オニーが席を立って2階へ行こうとした。「おい!マミー片付けて行け!」オニーが出したままにしていたマミーの紙パックを冷蔵庫へ入れろ、と言うのだ。オニーは無視して2階へ上がって行った。その背中に向かって父親が叫んだ。「何やその態度は!!もうダイビングは無しやからな!」

まただ。それは言ったらアカン。その場の一時の感情で絶対に言ってはいけない。どんなに腹が立ったとしても。アナタはオトナなのだから…。

オニーは部屋へ戻ったかと思うと、ダダーっと降りてきて、家を飛び出していった。ハラハラしているオカンに父親は、「ほっとけ!偉そうな態度とりやがって!何様や!」と言った。

砂漠の蜃気楼は消えて無くなった…。

オニーはその日は塾へも行かず、夜中になっても家に帰って来なかった。オカンは探して見つけたとしても、今日は帰って来たくないだろうと思ったし、きっと、どこかの公園で野宿でもする気だろうと思っていた。(ちょうど夏休み前にヤンチャ仲間がそうした様に。)

夫に、どうしようかと言うと、ケーサツに電話したら?と言うので、電話をした。直ぐに警察官が2人来てくれたが、ちっとも探していそうにない両親を見て、うーん、探されましたか?と聞いた。一応、「えーと、心当たりには連絡しました。」と答えたが、本気度を感じさせない両親に、一応その辺巡回してみます、帰ってこられたら署へ連絡下さい、と言って帰って行った。とても申し訳なかったのを覚えている。

オカンは夫に対して、ずっとずっと違和感があった。どれだけ夫と上手くやろうとしても、心の中で声がする。ちゃうねん。そうじゃないねん。そんなんしたら逆効果やって分からんか?なんで分からんねん?ハァ…

翌朝5時頃、オニーは帰って来た。シャワーを浴びて部活へ行った。警察には連絡とお詫びの電話をし、部活から帰ったオニーに何処にいたのかを聞いた。

「公文の公民館の裏。そこで寝とった。めちゃ蚊に食われた。」そかそか…。

早く、早く、カウンセリング…!!