青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

73*2013 オニー中学校2年生>>10

待ちに待った児童相談所の予約の日が来た!!

朝からTシャツに短パンのオニーを車に乗せて20分程で到着。受付らしき場所で名前を言うと、キョロキョロとオカンの周りを見回し、「この子が?」と聞かれた。「ハイ!連れて来ました!!」「…では、少しお待ち下さい。」

オカンとオニー以外には相談に来ているような親子はおらず、2人で待っていると3人の男性が来られて、2階の部屋へ案内された。

そこで我が家の現状をカンタンに話し、オニーは3人の内の1人の、カウンセラーの先生に別の部屋へ連れて行かれた。

残った2人の男性は調整員の方で、オカンはそこで幼少期からのオニーと父親の関係や今のオニーの現状を詳しく話した。調整員の方達はあまり親身になって話を聞いてくれているとは思えなかった。

受付の方がオカンとオニーを見た時にキョロキョロしたのは、もっとヤンキー風の子が来ると思っていたからだったようで、普通の格好に黒髪、オカンについて来て普通に喋っているオニーを見て『切羽詰まっていない相談者』と思われたようだった。今思えばそうだったのかもしれない。でも当時のオカンは、相談出来る人も居らず、学校の先生達もお手上げで、専門家になんとかしてもらいたい、その一心だった。

オニーのカウンセリングが終わり、オカンとオニーは廊下のソファで待たされた。オニーのカウンセリングの結果とオカンの話を総合して、今後について相談しているようだった。

「どうやった?」「ヤツのこと、思っきし言うたったわ。ちょっとスッキリした!」今まで思っていた事を学校の先生以外の第三者に喋れた事で、少しモヤモヤが解消されたようだった。「そかそか。後でなんか美味しいもん食べに行こー。」「ピザがいい!」そんな会話をしていた。

しばらくしてオカンが部屋へ呼ばれた。調整員とカウンセラーの先生曰く…

「オニーは幼い頃から父親が何で怒ってくるか基準が分からず、その時々の感情で怒ってくるのだと理解し、恐れていた。今、身体も大きくなり、父親に力で勝てるかもと思い、幼い頃の恐怖が怒りと憎しみに変わっている。ただ、経済的に敵わない、言うことを聞かないと今の生活が出来なくなる、という点で逆らいきれないところがあり、その苛立ちやストレスが学校生活でのトラブルに繋がっている。」

やっぱり。父親だったか。やっぱり。

思っていた通りの結果。気付かないフリをして、心の奥の奥にしまい込んでいたけれど、もう見ない訳にはいかない。

今まで、オカンが子ども達に父親の悪口を言うから子ども達がオレを嫌うのだ、オカンが「お父さんに謝りなさい!」と怒らないから子ども達がオレをバカにするのだ、オカンが居ない3人の時は上手くいっているのに、と散々言われてきた。オカンのせいだ、と。

カウンセリングの結論。

同じ事をしても(例えばパソコンを使って)上手く出来たら「スゲーやん!やるやん!」と言われ、変な事になったら「勝手に触るな!」と怒られる。妹は怒られない事でも自分は怒られ、逆らうとお金(携帯解約とか)で脅される。その父親への不満や苛立ちが、学校生活でストレスを感じた時に無意識の内に蘇り、友達や物にぶつけてしまう。友達に当たるのも、物を壊すのも、全ては父親への怒りと憎しみからきているようだ。

オカンは本当は分かっていた。ずっと前から…。

この時パンドラの箱が開いてしまった。

ワタシは夫とやり直せるのだろうか…。