青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

62*2013 オニー中学校2年生>>2

骨折した足も徐々に良くなったので、オカンはまた土日が休めるパートを探し始めた。

オニーは学校が終わると、部活が無い為すぐ家に帰ってくる。友達は皆部活があるので遊び相手も居らず、夜の塾までには時間があり、ヒマである。オニーの天敵、"ヒマ"。これは本当に良くない。

学校の帰り道にひなびた神社があり、そこにY中学校をその春卒業したs君が居た。s君は既に高校を中退し、バイトをしながらフラフラしていた。どちらから声を掛けたのか分からないが、ヒマな者同士、仲良くなってしまった。

「学校の帰りに神社でs君に会ってん!」

相変わらず、中学生男子にしては、オカンに(悪いと自覚してる事以外は)何でも話すオニーだったので、s君の事も嬉しそうに話してくれた。

しかし、高校を中退して神社でフラフラしているs君とつるんでいる・・・悪い予感しかしない。s君も毎日オニーの学校の帰りを神社で待つようになり、オニーが家に帰るのはだんだん遅くなっていった。

何をしているのだろう・・・。心配になったオカンは生活指導であるゴッTに相談した。s君は中学時代サッカー部で、その顧問がゴッTだったこともあり、ゴッTがs君に会いに神社へ行って下さった。

「オニーはまだ中学生やから、悪い事に巻き込んだらアカンぞ。」という感じの事を言ってくれたようだった。しかし、オニーが懐いてしまっているのだから仕方がない。きっとs君も色々あって退学したのだろうし、ヒマだっただろうし、人恋しかっただろうから。

初めの頃はそれでもまだ、塾の時間迄には帰ってきていた。しかしそのうち、どんどん学校からの帰りが遅くなり、塾に間に合わなくなったり、塾の後で会っているのか、塾からの帰りが遅くなるようになった。

この時こそが、昔からオカンの母、アーチャンが言っていた、思春期は父親が必要!な時だった。父親から息子に、ガツンと言ってもらう。「お母さんに心配かけるな!」理想のフレーズだ。

しかし、そもそもウチには父親と息子に信頼関係がない。そして、父親はきっと要らないフレーズ(お金絡みの)で火に油を注ぐだろう。当時、夫から「普段頼らんくせに、何か問題あった時だけ頼ってくるな!」と言われ、それならお金以外は一切頼らない、と心に決めていたオカンは、誰にも相談出来ず、1人で悩んでいた。

堕ちて行く・・・

そう感じていた。