青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

47***オカンの不安***

オニーが小6、イモートが小2の頃。

家から自転車で10分ちょっとの場所に児童館があり、オニーは友達とよく遊びに行っていた。綺麗だし遊ぶものも沢山ある、というのでイモートを連れてちょくちょく行くようになった。

イモートが遊んでいる間、オカンは児童館の中の小さな図書館で本を読んでいた。ある時、ふと目に止まった1冊の本。

「少年A」この子を生んで 「少年A」の父母(著)

何気無く手に取って読み始めて思い出した。1997年の神戸で起こった事件。物凄く世間を騒がせたのだが、当時オカンはちょうど結婚が決まってバタバタ準備をしている時だった。

もし自分がもっと少年Aに近い年齢だったり、自分にも子どもが居たりしたらまた受け止め方も違ったのだろう。電車で1時間ちょっとの距離で起こった凄惨な事件だったのから。

そう言えば、この少年Aって14歳だったよなぁ・・・オニーと2歳しか違わない・・・えっ?そんな子どもが2人も殺して何人も怪我をさせて、警察を翻弄するなんて・・・えーっ!?どんな家庭で育ったん?ウチは、オニーは大丈夫やろか!?オカンは不安になった。

一気に読んだ。読み終わってみるとモヤッとする。違和感が残る。少年Aの母親がどのように子ども3人を育ててきたか、どのように教え(躾)てきたか、等が書かれているのだが、どうにも理解も共感もし難い。

母親は専業主婦で、学校の役員や自治会の掃除なども真面目に参加し、厳しく躾ていた、と書かれてあったが、どうも母親の物事の受け止め方や感覚が釈然としないのだ。少年Aの幼い頃からの異常な言動、それに対する父母の対応・・・うーん。おかしいって思わんかったんかな?と思ってしまう。オニーは少年Aとはちょっと違う・・・かな・・・?

オカンは大きな図書館へ行き、神戸の事件に関する書籍を片っ端から借りて読んだ。読めば読む程オニーとは違う。彼を止めれなかったのは母親のせいか?母親は世間体をとても気にする人。
オカンと同じだ。

でも1つ、大きな違いがあった。それは子どもの言う事を鵜呑みにするかしないか、だ。

オカンは子どもの言う事を鵜呑みにはしない。それは子どもを信じる、信じないの問題ではないと思っている。私が見ていなかった事は分からない。分かるのは本人だけだと思っている。話は全て聞く。そこに嘘や誤魔化しを感じても全て聞く。こちらの意見を言うのはそれから、だ。

少年Aの母親はAを信じていた。子どもの言うことを全て信じてあげていた。そこがオカンとは完全に違っていた。

オカンは少しホッとした。オニーは酒鬼薔薇にはならない。そう思った。しかし、それは極論。そこまでになる方が少ない。オカンの不安はやはり拭いきれなかった。