青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

35*2008 オニー小学校3年生>>5

パピーさんのメルマガは週に2回アップされ、無料で読める優れものだった。とにかく過去の物も読みまくり、自分に当てはめてみた。

オカンは「クセが治るのは"つ"の付くうち」と思っていた。おそらく、オカンの母親から子どもの頃に言われ、頭と心に刻み込まれたフレーズだったのだろう。当時オニーは8歳(やっつ)、間もなく9歳(ここのつ)になろうとしていた。"つ"の付くラストイヤー、"ここのつ"が目前だった。"もう"1年しか無い・・・いや。"まだ"、だ。まだ1年ある!!

しかしながら、これまで8年間続けてきたオカンの育て方をたった1年で変えられるのか!?徐々に、なんて言ってる猶予はない。さて、どうする・・・?

オカンは必死に考えた。相手を変えるにはまず自分から、だ。オカンよ、1番思う事は何だ?1番伝えないといけない事は何だ?

自分の理想に近づけようと躍起になっていたが、それではオニーに全く響かなかった。パピーさん曰く、小さい子どもに怒ることなんて何も無い。何故なら小さい子どもは知らないだけなのだから。怒るのではなく、教えてあげればいい。1回で出来なくて当然で、教え続けるのだ、と。「怒る時は危険な時と犯罪を犯した時だけ。」いつか何かで聞いた事が思い出された。

ふむふむ。分かってきたぞ。

オニーを育てる時の主役は誰だ?オニーだ。オカンは何だ?助演女優だ。決して演出家ではない。フリーの舞台で自由に演じる主役のオニーを上手く活かしながらアドリブで支え、オニーを輝かせる。それがベテラン助演女優のオカンの役割だ。

よくオカンの母親が、子どもには長いヒモをつけて自由に飛ばしておいて、それはアカン!という時にはヒモを引っ張って戻すのだ、短いヒモだと窮屈になってヒモをちぎってどこかへ飛んで行ってしまう、と言っていた。

そうか。ならば、ストライクゾーンを広げよう。普通の子のゾーンではなく、犯罪以外ならよし、とするストライクゾーンにしよう。そして、1つ1つ教えていく。話し合う。何度でも。そう決めた。そして何より伝えないといけない事を1番に伝えよう。

オニーとオカンは向き合って座った。「オニー、話があるねん。」「うん。」「まずは、今までごめんなさい。いつもイモートと比べてたんはオカンやったね。オカンは変わる。今までいっぱいごめんね。」涙が溢れてきた。「これからはオニーをちゃんと見て、一緒に考えていくね。」泣きながら頭を下げるオカンを見て、「ママは悪くないよ。」と言ってオニーも泣いた。

ここからだ。これからだ。

オニーとオカンの舞台は新しい幕を開けた。