青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

28***ときどき イモート 2***

2007年、イモートが幼稚園に入園した。

イモートは2歳頃からオカンの習い事の為に週1で保育園の一時保育に通っていたので、オニーのような幼稚園デビューではなかった。

保育園の時はまだ2歳という事もあり、保育園へ連れて行ってオカンが帰ろうとすると追いかけて泣くが、姿が見えなくなると「ハイ。終了。」と言わんばりに泣き止んで遊び出す、と保育士さんに教えられた時にはズッこけた。

イモートにはオニーの通った園は選ばなかった。かといって近くのカッパツ幼稚園でもなく、イモートに合いそうな、自転車で10分位の距離でバス通園が出来る幼稚園を選んだ。末っ子のイモートには近い園である必要はなかったから。

そこの幼稚園には年少組が3クラスあり、イモートのクラスだけは大ベテランの担任の先生が1人、その他のクラスは担任と副担任の先生がいた。

5月産まれのイモートは、入園時から既に制服を自分で脱ぎ着出来ていたが、早産まれの子たちはまだ3歳になったばかりだし、お着替えができない子も多かった。朝は制服で登園し、まず体操服に着替えるのだが、4月はまだ自分で出来ない子が多くて担任の先生1人では手が回らない。

イモートはさっさと自分が着替えるとお友達の着替えを手伝うので、そのうちイモートの前に着替えを手伝って欲しい子達が並ぶようになった。子どもを送って来てその様子を見ていたお母さん達は、イモートを「副担(任)」と呼んでいたそうだ。

この幼稚園には同じ社宅の人が1人居るだけで、知っている人は他に誰も居なかった。家からも小学校とは反対方向だったので、きょうだいがオニーと同じ小学校という人もほぼおらず、全く新しい環境だった。

イモートはとても面倒見が良く、お友達からの人気も高かったので、オカン憧れの「お持ち帰り」によく誘われた。「お持ち帰り」をしたり、されたり。オカンは2人目にして初めてママ友が出来た。

そしてオニーを知らないママ友には、「イモートはホント面倒見良いし、副担してくれて助かるわ!」「え?オカンとこ上に男の子居るの?女の子のお母さんやと思ってた!」なんて言われ、園の懇談では「本当に良く手伝ってくれて助かってます~。どうやったらあんないい子に育つんですか~?」と言われ・・・

え?ん?えーーーーーー!?何て何てー????

言われた事のないフレーズばかり。助かる?いい子?どうやったらいい子に育つ??オカンの頭はパニックだった。今まで言われてきた事と全く違うではないか!?いつも「すいません。」「すいません。」の謝り人生。肩身の狭い、日陰の日々を送ってきたのに、何?この違い。ちょっと待って・・・💧

オカンは考えた。今まで散々シツケガワルイだのアマヤカシスギ、だの言われてきたが、そうなのか?だとしたら何故イモートは??オニーと同じ様に育ててきたで?同じオカンやで??だとしたら・・・。

答えは1つだった。

”持って産まれたモノ”

その違いだ。

イモートの入園で、オカンは衝撃的な事に気付いたのだった!!


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