青いそら~オニーとオカンと時々イモート~

これはアスペルガーのオニーとフツーのオカン、2人の20年以上にわたる成長記録である。

34***オカンの回想***

オニーが1年生の頃の話。

オニーと一緒にボーイスカウトに参加していた時、オカンは折り畳み傘を上手く畳めないオニーに少しイラッとしながら「こうやって、こうやって畳むねん。」と教えていると先輩ママさんに「オカン、そんなムキになって教えんでもそのうち出来るようになるよ。まだ小1やん。」と言われた。「えっ?もう小1やん?」と言うと「家は小1でも下の子やからそう思えるんかな。まだ小1や、って。」「・・・。」なるほど。同じ小1でも、小1が上の子のオカンにしたら"もう"だが、小1が下の子なら"まだ"となるのか・・・。上の子には無意識のうちに"もう"と思って成長を急かしているのかもしれない。"まだ"と"もう"。同じ歳なのに。

"まだ"小1ではあったが、鋭い所のあるオニーはその頃よくオカンに父親のムジュンを質問してきた。同じ事をしている(つもり)のに怒られる時と怒られない時があるのはナゼ?夕飯の後はもう何も食べてはいけないのにパパだけアイスとか食べるのはナゼ?

その度にオカンは夫をフォローしていた。夕飯後のアイスなどは、早く寝る子ども達が寝てから食べて欲しいと頼んだが聞き入れて貰えなかった。仕方なく「大人になると歯が強くなるから良いけど、子どもはすぐに虫歯になるからダメなんよ。」等と苦しいフォローをしていた。

しかし、鋭いオニーをごまかすのは既に限界を感じていた。何故なら、夫の態度はオカンから見ても気分や機嫌による事が殆どだったし、オニーの言うことの方が共感できたから。このまま夫をフォローしているとオカンまでオニーの信用を失くすなぁと思い始めていた。残念な事に、夫はオカンの話やアドバイス聞く耳を持ってはいなかった。

オニーが小2の冬には、オカンは夕方になると下痢をする日が続き、胃腸科を受診した。先生がお腹を触診しても異常は見当たらず、下痢以外の症状は何もない。胃腸風邪が流行っていることもなく・・・。とりあえず整腸剤だけ出しておく、と言われた。

「そろそろ問題児の息子が帰って来るので、胃が痛いです。」と何気なく言ったオカンの言葉に「え?いつもこれくらいから下痢するの?胃が痛いの?」と言われ、「いえ、胃が痛いは比喩ですけど、息子が下校すると学校から電話が来ることが多いので、電話が鳴るとビクッとするんです。」と言うと、「お母さん、夕方からの下痢はストレスからですよ。ストレスが腸にきてるんやわ。整腸剤では効かんわ、薬替えるね。」と言ってお薬を変更された。

アスペルガーで奔放なオニーと、多分アスペルガーで人の気持ちに共感出来ない夫。根が生真面目で人の目を気にするオカン。

自分の世間体の為にもオニーにちゃんとして欲しい。でないと世間から、そして世間よりもっと恐ろしい夫から非難される。子どもの頃からどちらかと言えば優等生で、人生何となく上手くいっていたオカンは、オニーを産んでから謝り人生が始まり、人の目ばかり気にするようになっていた。母親失格と思われたくなかった。・・・誰に?夫に。世間に。世間って・・・?世間って、誰??大切なのは誰?世間?夫?

大切なのは、オニー。そしてイモート。

パピーさんのメルマガに出会って初めて気付いた。